ピッチ

シリーズ A ガイド

ピッチ

 

デッキとメモはピッチをサポートする素材です。ピッチは投資家とのミーティング中に最大20~30分かけて行われるもので、創業者はここで自社について語り、その後、自由な会話や質疑応答が行われます。

ピッチの目標は、投資家を不安にさせること、具体的には、これからやってくる大儲けのチャンスを逃してしまうと困る、という恐怖心を抱かせることにあります。そのため、自分自身(および自社従業員)で、自社に関する明確かつ非常に野心的なビジョンをまとめ上げることが極めて重要になります。

シリーズA投資家が関心を持っているのは、皆さんの企業が数十億ドル企業に成長する可能性があるかどうか、のみです。創業者の仕事は、そのストーリーを明確かつ確実に伝えることにあります(詳細は「ストーリー」セクションを参照ください)。

 

明確なコミュニケーション

内容
  • 簡潔なピッチほど明確なものになります。シンプルなピッチは複雑なピッチに勝ります。
  • 具体的かつ簡潔であるよう心がけてください。
  • 自社ビジネスを正確かつ簡潔に伝えてください。ピッチ開始から1分で投資家が皆さんのビジネスを明確に思い描けるようにしてください。
  • 大きな変化がある場合はそのことを明確に伝え、その理由も説明してください。
  • 実在の人物を例にする場合は、ユーザーモデルではなく実在の人物について説明していることを明言してください。
  • 良い点については謙遜せず、早い段階で明確に強調してください。
  • ジョークを言う場合は、相手がわかりやすいようにしてください。その自信がなければ省略してください。
言語
  • 話題を変える際に、一般的フレーズ(「では…」など)を使わないでください。
  • 自然な言葉と簡潔な文章を心がけてください(例:動詞が3つある文章はNGです)。
  • 普段の会話で自分が使わない言葉は使わないようにしてください。
態度
  • ゆっくりと明確な発音で話してください。
  • 情熱的に話してください。創業者の役目は、自分のピッチを情熱的なものにし、投資家に強い興味を抱かせることです。創業者に信念がなく、それが態度に出てしまえば、投資家にも信用してもらえないでしょう。
  • ピッチは丸暗記しているように聞こえてはいけません。抑揚やリズム、山場を設けることは非常に効果的です。
  • 聞き手と視線を合わせてください。ピッチは1人またはグループに対して行われるため、1人1人と順番にアイコンタクトをするよう心がけてください。
  • 自分が伝えたいポイントは、飾らず、断定的に伝えてください。
  • 明確な見解と確信を持ち、毅然とした態度で臨んでください。

信頼性の伝達

どのビジネスにも弱点はあります。自社ビジネスが直面している問題に関する質問に説得力をもって答えるためには、それらの問題について自分自身に正直でなくてはなりません。

ピッチミーティングの中でそうした弱点に答える最善の方法は、投資家が抱く可能性がある懸念を予測し、考え抜いた回答を用意しておくことです。実は、一般的にベストな方法とは、最大の批判点に対して率直に向き合い、それらをピッチに取り込んでしまうことです。投資家は、創業者がそれらの問題を認識していて、対処法を用意していることを確認したいからです。

正直さは信頼感の構築にもつながります。シリーズAは、創業者がそのストーリーをきちんと現実化する能力があるかどうかに賭けるものであるため、信頼性を伝えることは極めて重要です。投資家は、創業者が語るストーリーと同等に創業者自身を評価しています。

 

練習

練習の重要性はどれほど強調しても足りません。練習、練習、とにかく練習です。シリーズAのリード投資家になることができない内部の投資家相手に練習してください。YCのシリーズAプログラムでは、資金調達の開始前に創業者が万全に準備できるよう、1時間程度の対面式の疑似投資家ミーティングの練習を2~4回、行っています。

練習セッションでは、自社のストーリーを明確かつ説得力ある形で伝えることに注力します。これが効果的にできているかを確認するためには、ピッチを聞いた人に、印象に残った要点3~4個が何であったか聞いてみましょう。それらの要点が自分の伝えようとしていたものと異なる場合は、ピッチに磨きをかける必要があります。

こうした練習を行うことで、ピッチの中で聞き手が最も懐疑的に感じる部分、最も興味を示す部分が見えてきます。フィードバックを基にピッチの練習を繰り返してください。また、よく聞かれる質問に関しては、答えをまとめた別紙スライドを追加してください。

注:アドバイスとは無償で得られるものですが、それ故にアドバイスを大量に受けすぎてしまうことがあります。全てのアドバイスに従おうとしたら、収拾がつかなくなってしまうでしょう。アドバイスをもらう相手は、信頼のおける人物1人に絞ってください。

結局は皆さんが何を選ぶかです。自分がしたいことに関しては、強い確信や信念に基づく意思決定をする必要があります。

 

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プロセス

本コンテンツは Y Combinator の許可を得て FoundX が翻訳しています。
翻訳元: Y Combinator Series A Guide