社内における準備

社内における準備

 

ピッチ専任者の設定&責任の委任

資金調達はCEOの仕事です。あなたがCEOの場合、あなたが1人で、かつフルタイムで取り組むよう計画を立てる必要があります。資金調達とは、2週間~4ヵ月を要する、全力で取り組むべき作業です。資金調達に要する時間および(精神的、肉体的、そして感情的!)エネルギーは過小評価されるべきではありません。そのため、ピッチ開始前に、CEOである創業者が不在でも企業がうまく回るような優れた構造をきちんと考えておくことは大切です。資金調達プロセス中は、日常的な意思決定は共同創業者または主なチームメンバー数名に任せることをお勧めします。

一方、資金調達の進捗をこまめに管理することは企業にとって本業への集中の妨げとなります。企業の経営陣にとって、経営に専念することは創業者の資金調達への専念と同じくらい重要です。なぜなら、経営陣はもともと行っているあらゆる業務に加えて創業者の空白を埋める必要があるからです。資金調達が他者の業務遂行の妨げとならないよう、可能な限りのことをしてください。共同創業者または他の経営幹部が必要とされるのは、具体的な質問(例:CTOは技術的デューディリジェンスに対応)に答える時のみで、フルパートナーシップステージのみに参加するのが一般的です。

共同CEOなど、CEOが複数いるという稀なケースにおいても、窓口は1人にしておくのが最善です。投資家は明確な意思決定プロセスを好みます。そのためにも、一般的には1人の最終意思決定者が必要となります。共同CEOと共に企業作りをしている場合は、社内業務担当CEOと社外業務担当CEOの役割の分離など、自身の権限を明確にしておく必要があります。その場合、社外業務担当CEOが資金調達を担当することになります。資金調達の担当者を同時に複数名置くことは、企業作りに最も重要な人物のうち2人を他の業務に集中させることになり、資金調達に関する調整業務も、より困難になります。

雇用オファーのクローズ&保留中の従業員へのエクイティ譲渡の終了

シリーズA前の価格でエクイティ取得ができるのは、創業者がタームシートを受領する前に入社していた従業員のみです。自社で社員採用が続いている場合、従業員には創業者がシリーズAタームシートへ署名する前(従業員が享受する価格上昇―つまり、金銭的インセンティブの大半―の消滅前)にエクイティを取得させてください。

一般的に、シリーズAプロセス開始前に未対応のペンディングまたは約束済みのエクイティ譲渡がある場合は、一刻も早く処理するべきです。多くの人は、創業者がタームシートを受領したらオプション/エクイティ譲渡に関する現行の409Aバリュエーションは利用不可になるとは思っていません。現行のバリュエーションが利用不可になるのは、その企業の普通株式に関する、より最新の(かつ理想的にはより高い)バリュエーションを暗示する重大な出来事が発生したからです。そのため、早い時期に入社しながらエクイティを譲渡されていないチームメンバーは、より高い権利行使価格でエクイティを取得しなければならず、これにより彼らのメリットは減少してしまいます。創業者はタームシートを受領する時期を正確に調節することはできないため、資金調達プロセスに対応しつつ、エクイティ譲渡の未処理分が数多く残っていないようにしておくのが賢明です。


雇用計画の策定

資金調達を行う理由の1つは、チームやオペレーションを強化するための資本を獲得するためです。社員数増加の流れやシリーズAとシリーズBの間に設置する役職を概説した雇用計画の策定は、様々な形で創業者の役に立ちます。

投資家候補からは、「このラウンドで調達した資金でどのような人物を雇おうとしているのか?」、「それらの人物を雇いたい理由・雇う必要性は?」、「投資家候補にピッチしている全体的運営計画にそれらの人物はどう役立つのか?」といった質問を直接尋ねられる可能性が高いです。こうした質問に詳しく答えられるようになっておくことは、資金調達プロセスの助けになると共に、自社ビジネスに対する指揮能力の証明にもなります。

あまり目立たないけれども重要なポイント:雇用計画は、シリーズAで利用可能なオプションプールに関する過剰な要求に対する交渉の際、役立つ可能性があります。現在の市場におけるシリーズAオプションプールは、シリーズAクロージング直後時点で企業の10%に相当する未発行かつ利用可能なオプションプールとなっています。

しかし、より大きなプールを創業者に求める投資家もいます。一方、創業者は希釈化の制限、または自社が株式報酬に対する期待が一般的に低いシリコンバレー以外の場所を拠点としている、もしくはそうした場所からスタッフ採用中であることを理由として、プールを市場の水準よりも小さくしたいと考えるかもしれません。

こうしたケースにおいて最も効果的な交渉戦略の1つは、それらの役職を埋めるために必要な株式報酬パッケージ(例:エンジニア10人×各0.1%=1%)を織り込んだ雇用計画を提示することです。これにより、皆さんが早くから雇用に関して熟考していると投資家を安心させることができると共に、シリーズB前にオプションプールを使い切ってしまい、新たなプールを増やす必要に迫られ、シリーズBでの新たな資金調達前にシリーズA投資家のオーナーシップを希釈化させる、といった可能性をかなり低減させることができます。また、こうした戦略により、創業者は自分がより多くの知識を持っている領域および内容で交渉を進めることができます。

次のセクション:
既存投資家との意思疎通

本コンテンツは Y Combinator の許可を得て FoundX が翻訳しています。
翻訳元: Y Combinator Series A Guide

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