資金調達の1ヵ月前

シリーズ A ガイド

資金調達の1ヵ月前

 

ピッチ専任者の設定&責任の委任

資金調達はCEOの仕事です。あなたがCEOの場合、あなたが1人で、かつフルタイムで取り組むよう計画を立てる必要があります。むこう1ヵ月の他の業務責任は他者に任せましょう。CEOは自分の時間を100%、ピッチの準備に費やす必要があります。

共同CEOなど、CEOが複数いるという稀なケースにおいても、窓口は1人にしておくのが最善です。投資家は明確な意思決定プロセスを好みます。そのためにも、一般的には1人の最終意思決定者が必要となります。資金調達の担当者を同時に複数名置くことは、企業作りに最も重要な人物のうち2人を他の業務に集中させることになり、資金調達に関する調整業務も、より困難になります。

雇用オファーのクローズ&雇用計画の策定

シリーズA前価格でエクイティを渡したい従業員に対する雇用オファーをクローズします。さらに、社員数増加の流れやシリーズAとシリーズBの間に設置する役職を概説した雇用計画を策定します。雇用計画は投資家からの資本の使途に関する質問に答える時や、シリーズAで利用可能なオプションプールに関する過剰な要求に対する交渉時にも役立ちます。

既存投資家との意思疎通

優れたエンジェル投資家は、適切なパートナー探しや他者への紹介、進行中のデューディリジェンスにおける水面下でのサポート、創業者の擁護など様々な形で支援をしてくれ、シリーズA資金調達において極めて有益な存在となり得ます。資金調達におけるリード投資家となれる力を持ちながら今回はその役目に就かないインサイダー投資家がいる場合は、大きな問題を回避するための文書に合意してください。以下は合理的な文書の一例です:「オーナーシップに関する自身の目標を達成した投資家Aは、自身のPro-Rata権を行使し今後もサポートを続けるが、我々はXYZに関する資質を有するパートナーが必要と考える。投資家Aは専門知識を有しているものの当該資質は有していないため、異なるリード投資家が求められる」。

Pro-Rataの計算

Pro-Rata行使後に当該ラウンドでどの程度の余裕が残っているかを理解して資金調達に臨めるよう、資本政策表を整備しましょう。これは希釈化レベルを把握しておくうえでも役立ちます。これらの計算にはcaptable.ioAngelcalc.com、Carta、Excelなどのツールが使用可能ですが、不安がある場合は弁護士に相談してください。YCに参加している創業者であれば、YCのファイナンス部門に相談することもできます。

ディリジェンスパックの作成

情報が必要な際に共有できる標準パッケージをまとめておきます。標準的な情報の例としては、損益計算書、財務予測、資本政策表などがあります。これらは話を進める際にも役立ちますし、当該プロセスにおける作業負荷も減少させます。可能な限りDocSendなどのサービスを利用して、誰が何を閲覧しているかの追跡を行いましょう。

タームシート後ディリジェンスのための文書作成

タームシートに署名したら、必要となるあらゆる情報を集めます。これについてはシリーズAディリジェンス・チェックリストにまとめてありますので、参照してください。タームシート署名の前に全ての情報を1ヵ所―データルーム―にまとめておけば、クロージングプロセスで1週間程度を節約することができます。

短期間でのピッチ設定

ステージ毎のミーティングは極力密集させて行い、市場対応の公平化を目指します。初回のピッチは1~2週間でまとめて行い、フルパートナーシップに対するピッチ(タームシートのオファー前の最後のミーティングであるのが一般的)は別の1~2週間でまとめて行う必要があります。創業者の目標は、資金調達を短期間で行い、投資家グループを同じフェーズに置いて競争させることにあります。投資家同士が共謀したり、他の投資家の動向を知ったりすることなく、同時にオファーをもらうことが理想的です。

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資金調達開始時

本コンテンツは Y Combinator の許可を得て FoundX が翻訳しています。
翻訳元: Y Combinator Series A Guide