過剰最適化の回避

過剰最適化の回避

多くの創業者は資金調達を数学の問題と同じように考えているようです。彼らは、ただ1つの「正解」があると思っています。しかし、これは過剰最適化という間違いにつながるのが一般的です。最適化は「変化を重ねることで資金調達および/または企業の業績を改善させる」と想定していますが、そのようなことはありません。

資金調達は企業の成功を左右する要因ではないため、資金調達を行う創業者は後悔を最小化するフレームワークに注目する必要があります。本質的に、創業者は必要とする金額を調達し、愚かな行為を回避し、そして前進する必要があります。過剰最適化の回避を理解する上での課題の1つは、「愚かな行為」とは何か、ビッグディールとは何かを理解することです。

資金調達を過剰最適化してしまう手法は、創業者の数だけ存在するとも言えるでしょう。以下は、より一般的な間違いの例です。

  • 価格の過剰最適化‐創業者は主に自身のエゴのために価格を最適化します。他社よりも高い価格で資金調達した場合、自社や自分はその他社より優れていると考えます。これは実に滑稽な考えです。高い価格での資金調達は、その企業の資質とほとんど関係ありません。また、必ずしも資金調達における創業者の優秀さを反映したものでもありません。価格に反映されるのは主に特定時点の市場です。
  • 投資家の過剰最適化‐奇妙なことに、創業者はオファーを受ける前であってもこれを始めてしまいます。選択肢がないのに投資家を選ぶことはできません。そして結局のところ、投資家間に優劣があったとしても、それが成功に直結するわけではありません。
  • 希釈化の過剰最適化‐これは価格に関するもう1つの話です。ラウンド内での18~20%のエクイティ売却についてとやかく言う創業者は、本当に重要なのは大成功を収める企業作りであるという点を見失っています。
  • 調達資金の過剰最適化‐実際の必要額とは関係なく資金調達金額について気を揉み始める創業者は、資金調達を行う理由を見失っています。資金は目的を達成するための手段であり、それ自体が目標・目的ではありません。より多くの資金を調達することが成功につながるわけではなく、さらなる希釈化をもたらすのが一般的です。
  • スピードの過剰最適化‐数日でラウンドを終わらせようとする創業者は、「人は極度のプレッシャー下にあるほうが、より良い意思決定ができる」と信じているように見えます。しかし、それはほとんどの場合、正しくありません。

これは巧みな手腕が求められる部分です。価格、投資家、希釈化、そしてスピードに関する意思決定はどれも重要です。各々の問題に関する最適な対処法は、一歩離れて物事を見つめ、達成するべき目標の観点から取り組むことです。

  • 価格‐これは、創業者および従業員のオーナーシップが大幅に希釈化して一生懸命働こうという意欲を失わせるようなことなく、企業の目標達成のために十分な資金が調達可能な程度の金額である必要があります。
  • 投資家‐大半の投資家は優秀です。彼らは資本を提供し、要請があれば多少のサポートを行います。なかには非常に優秀な投資家もいます。彼らは資本を提供し、要請があればかなりのサポートを行いつつ、頼まれれば邪魔にならないように身を引きます。しかし、世の中には悪質な投資家もいます。彼らは様々な方法で企業にダメージを与える可能性があるため、関わりを避ける必要があります。
  • 希釈化‐創業者は、対象として狙っているベンチャー企業よりも上の立場で自社の成功にコミットするために、自社内で十分なオーナーシップを保持しておく必要があります。これができていないと、創業者が流れから外されてしまったり、中途半端な立場で仕事をさせられたりするリスクがあります。多くの場合、オーナーシップは支配権ともリンクしています。大半の創業者はある時点において自社の支配権を失いますが、一般的には企業のライフサイクルのなるべく後半に起きるようにするのが良いと言えます。
  • 調達金額‐創業者は特定のマイルストーンを達成するために資金を調達します。そして、それらのマイルストーンを実際に達成するために十分であると共に、ミスや遅延をカバーするバッファーを考慮した金額を調達する必要があります。マスコミは巨額の資金調達について取り上げたがりますが、賢明な創業者は成功するために十分な金額を調達し、それ以上は必要としません。
  • スピード‐一般的に、迅速に進捗できない資金調達は失敗に終わります。これは、いかなる時も、資金を出すよりも出さないほうが容易だからです。創業者はラウンドが迅速に進行し続けてクロージングを迎えるよう気を配る必要がありますが、それ以上のスピードに早める必要はありません。

資金調達を行う創業者は、自社ビジネスや従業員、生活一般を見失うことなく、多くの人々と行う様々な会話を完全に掌握している必要があります。こうした一連の物事が同時に動いているなかでは、重要なことを見失い、間違ったことにフォーカスし始めてしまう可能性が非常に高くなります。最も重要なことは、一連の目標を達成するのに十分な資金を調達することです。価格や投資家、希釈化、スピードに留意するのは重要ですが、それらの過剰最適化は重要ではありません。

本業vs.資金調達

最後の注意点です:多くの場合、創業者は資金調達プロセスで頭が一杯になります。これは大抵の場合、企業にとって致命的な間違いとなります。企業のファンダメンタルに関する考察に時間を費やすよりも、特定の投資家に対するレバレッジ活用の時期および方法に関する理論づけや最適化に時間を費やすことのほうが、はるかに簡単です。

私たちが見てきたほぼ全ての資金調達において、優れた企業は最適化がどれだけ困難であろうと全速力で前進しています。一方、優秀さに欠ける企業は自らを苦境に追いやり、意味のないミーティングを行い、どれだけ資金を調達しても使い果たしてしまいます。

資金調達の時期や方法を理解することは重要ですが、考える価値があるのは創業者が資金調達を必要とする時期だけです。それ以外の時間はコードを書いたりユーザーの話を聞いたりすることに費やすべきです。

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本コンテンツは Y Combinator の許可を得て FoundX が翻訳しています。
翻訳元: Y Combinator Series A Guide

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